最近、高校時代の友人二人がハノイ観光に来てくれました。これまでお世話になったので、せめてそのお返しにと、どこへお連れしようか、あちこち下調べ。まあ、ハノイ市内や近郊の観光地なら大体どこへでも行ったことのある私達ですが、今回改めて見て回るといろいろ新発見もある。で、今回はこの方々の旅程をなぞりつつ、皆様にも是非お越しいただけるよう、ご参考まで、ハノイの見所をご紹介したいと思います。
大雑把に言えば、ハノイ市内観光に2日、海の桂林と言われ、世界遺産にも登録されたハロン湾とハノイ近郊の伝統的な村を訪ねて2日、それに往復のフライトに2日、合計6日間が急がず、だらけずの旅程でしょう。ハノイ2日間のうち1日はお上りさんならだれでもの観光地を見て、あとの1日は全くのオーダーメイド。庶民の街を探訪したり、ハノイ美術大学でのベトナム伝統漆絵教室またはソフィテル・メトロポールホテルでのベトナム料理教室に体験入学というのはどうでしょうか。ハノイ近郊には、焼き物のバッチャン村、民族絵画のドンホー村、現代化以前の古い町並みと生活がそのまま生きているドゥオンラム村など魅力的なスポットが点在しています。
ハノイは千年の都です。一方のホーチミン市が商業都市として、やれショッピングだ、やれグルメだ、やれエステだ、何だかんだと一見華やかなのは事実ですが、当地は政治、社会、文化の中心として数々の史蹟を残しています。市内ではホーチミン廟、ホアンキエム湖、旧市街が必見。あとは皆さんの興味に従い、歴史博物館、革命博物館のような古代から近代に至るベトナム史をたどるもよし、少数民族博物館や女性博物館を通じてベトナム社会を探るもよし、あるいは我々世代の人間なら忘れもしないベトナム戦争の前後を物語る軍事博物館やホアロー収容所も印象深いでしょう。
もちろん、夜のハノイだって魅惑的かつ健康的です。中でも水上人形劇場は特筆すべき民俗芸能でしょう。大河ソンホン、数々の湖や池、田んぼなど水に親しんできた農民たちが収穫祭の一環として発展させてきたもので、ベトナムの民話、寓話などが歌謡団や琴、笛、太鼓の民族楽器とともにコミカルに演じられます。農夫、農婦を初め、アヒル、魚、蛙など身近な小動物から龍や鳳などの空想上の動物に至るまで、幕の向こうで操る演じ手の意のままに動く人形たち。勿論、ストーリーはベトナム語で進みますが、コミカルで微妙な人形たちの動きは外国人観光客を沸かせるのに十分です。
そして、夜と言わず、昼間でも大いに期待したいのがベトナム料理!豆、野菜、鶏、鴨、海魚、川魚、貝、エビ、カニ、蛙、豚、ヤギ、牛、飯類、麺類…。喧騒と猥雑の中でなんでもござれの雑多な料理に水っぽいビールを堪能するのも一興ですが、まあ、初めはお上品にいきますか。高級レストランに入りますと、シックな内装とほんのりしたライティングの中で、伸びやかな民族音楽を聞きつつ、アオザイレディーのサービスを受けることができます。まずはご当地ハノイビールで喉を潤し、くらくら暑い体を冷やしましょう。前菜は定番の揚げ春巻きか生春巻き。それにハスの茎+エビ+豚肉にピーナッツを細かくまぶしたちょっと甘めのセンサラダまたはポテト+ハム+ニンジン+青豆+ピクルスを和えたロシアサラダあたりでいかがでしょうか。スープとしてはカィン・チュアが代表的。これはトマトの酸味をベースにパイナップルで甘みを効かせたもの。魚、野菜、具沢山でとろみのないスープです。
そしてメインコースは店により得意な分野がありますが、日本人にとって間違いないのは海鮮。ベトナム近海の魚介類がふんだん。カニでもエビでも魚でも大きなものが納得いく値段で食べられます。上に載せられた緑の香草がベトナム料理の「らしさ」を演出します。タイ料理のように辛くなく、また中国料理のように油っこくなく、どちらかと言えば淡白で日本人好みのものが多いようです。もし物足りなければヌォックマムに唐辛子を加えたもの、塩辛を加えたもの、ピーナッツ味噌だれやチャインと呼ばれるベトナムレモンなどなど多彩なタレを使うといいでしょう。シメに焼き飯、焼きそばなどもいいですが、本当は白いご飯にメインコースの残り物を載せて、カィン・チュアをぶっかけたのをずるずるやるのが一番。念のため、これは当地では何も目くじらをたてる食べ方ではないですからね!さて、デザート。これは我々日本人には砂糖味の強いのが気になるところか。アイスクリームなど、ちょいとどぎついほどこってりしています。そこで、どなたもいただけるのが南国フルーツの数々。パパイヤ、マンゴー、マンゴスチン、ドラゴンフルーツなど色とりどりです。
そして大事なのがホテル。ここハノイでも大型ホテルがいくつもあります。格式と伝統のソフィテル、優雅なヒルトン、高層のシェラトン、大型のデーウなどは申し分ないでしょう。また日航ホテルはどことなく日本人ムードが漂い、気楽にステイできるはず。いずれも立地がよく観光にも買い物にも便利。設備も充実していて安心して泊まれます。しかし、私達のお薦めはホアビン(和平)、ザンチュウ(民主)などローカル経営のホテルです。特長は何となく時代がかった名前。これらは今でこそ、欧米系列の大型近代ホテルに取って代わられた観がありますが、かつては時代の先端を行くフレンチ・コロニアルスタイル。客室はゆったり、インテリア、調度ともにクラシック。そしてうれしいことにホテル代は大型ホテルの半分以下。ただしサービスは、泊めてやる風のちょっとお役所スタイルのスタッフに当たるかも。
最後にお金の話。旅行中、当地で消費するのは1人1日当たり、食うで1500~2000円(朝食はホテル代込み)、見るで2000円、泊まるで5000円程度でまあまあか。もっともツアー旅行ならフライトとホテル込みで5万円とか格安がいくらでも見つかります。
またグループ旅行などの場合には1日1台10,000円程度で運転手付きの車を借り上げちゃった方が足回りがよくて安上がりかもしれません。
「見る・食べる・遊ぶ」ピンからキリまでいろいろあります。上(高級)から降りるか下(庶民レベル)から上るか。心に残る原風景満載のハノイへ是非どうぞ!