6. 水上人形劇場
ホアンキエム湖の東側を走るディン・ティエン・ホアン通りが湖に沿って大きく左に曲がる角にタンロン水上人形劇場があります。ここはハノイの代表的エンターテインメントの一つとして市内観光ツアーに組み込まれている場合が多く、日本人は勿論、大勢の外国人観光客でにぎわっています。満席になることが多いので、個人でご覧になる場合は事前にチケットを買っておいた方がいいでしょう。
水上人形劇は既に千年以上も前から紅河デルタ地帯の村々で行われてきました。人形は木製で漆を塗ってあり、腰ほどの深さの池で行われます。人形遣いが御簾の向こうから棒の先端に取り付けた人形を操ります。棒を水面下で動かしますから、人形はあたかも水面を動いているように見えます。雨季で田んぼが水浸しになった時など、農民はこの人形劇を楽しみます。この劇場では四角いプールに腰まで浸かった人形遣いが竹の御簾の向こうに隠れ、外観を寺に見立てた舞台で操るのです。人形は重さ15キロもするものがあります。農民や貴族ばかりでなく、水牛、魚、亀、アヒルなど身近な動物から伝説の龍や鳳凰までが民話や歴史物語をユーモラスに展開します。内容は田植え、収穫、魚釣り、お祭りなど日常の場面です。そして唄、太鼓、琴、木琴、笛などの楽団がステージを盛り立てます。
1編4、5分ほどの短編が10数話、すべてベトナム語で行われます。しかし、農民が田植えをしている脇で魚やカエルが飛び跳ね、龍が空を舞うなど花火や水しぶきも動員したコミカルな動きにだれもが舞台に引き込まれてしまいます。プログラムの一部を紹介しましょう。
・龍と鳳凰の踊り
・牧童の笛
・カエル釣り
・農村の生活風景
・アヒルを盗もうとした狐を追い払う話
・レロイ王とホアンキエム湖の伝説